もしも「趣味」で受ける試験であれば、倹約は大いに結構です。趣味にお金を使いすぎると、家庭内争議の原因にもなりかねません。「予算の範囲内で、何らかの資格や検定試験を受けなければならない」という場合は、ムリして支出する必要はまったくありません。しかし、「どうしても合格したい!」「どうしても高得点を取りたい!」、いや「合格しなければならない!」「高得点を取らなくてはならない!」という人たちは、決して「倹約」をしてはいけません。そういう方々に、ぜひ胸に刻み込んでおいていただきたい言葉があります。それは、「時間と効率のためには、金を出し惜しんではならないというものです。勉強する人は、この言葉を、なるべくいつも目にする定期入れや机の前に貼っておいてください。もちろん、表現を自分なりに変えても問題ありません(たとえば、「金で時間と効率を買え!」「勉強に金を出し惜しむな!」「本は迷ったら買え!」といったものでもいいで以下で、「時間と効率のためには、金を出し惜しんではならない!」という言葉の意味するところを具体的に述べてみたいと思います。
大規模塾や塾教材会社では毎年の入試用問題を分析してその情報を蓄積し、これをもとに教材を作成しますから、結果としてどの教材も内容が類似します。これが社会の時事問題などでは教材の全面改定が毎年必要で、ある年度の教材は原則として翌年以降使えません。ですから作成者の判断によって教材内容は大きく異なりますが、国語の知識問題ではこのような現象は起こりません。しかし大筋では一致していても、膨大な出題範囲から収録内容を取捨選択して教材を編集する以上、作成者の判断によって異なる知識教材ができることも事実です。ここに「どのテキストで勉強するか?」という教材選択の悩みが生じますが、多数派の教材を選ぶことがこの対策になるのです。多数派教材で勉強すれば、収録範囲外から出題されても、他の受験者も同じように得点できないので点差がつきません。「テストで得点すること」を考える場合、「他の受験者に勝つ方法」より「他の受験者に負けない方法」を工夫することが重要です。なお、保護者には収録量の多い知識教材を選ぶ傾向がありますが、これは必ずしも有利とはいえません。
お勧めしたいのは、覚えた内容について発表する場を設けることです。たとえば、資格試験なら模擬試験を受けて結果を出してみるわけです。最初のうちは点数がよいかどうかは気にしなくていいのです。また、人と一緒に勉強して自分の答えを聞いてもらうことも、発表の場の一つです。勉強した内容の発表やレポートは、勉強を使える形で頭に残すための良質のアウトプット・トレーニングとなるのです。さらに、以上のことを試みることによって、勉強のやり方一つで結果に大きな差が生まれる事実を理解することです。これは非常に重要で、たとえば資格試験でも同じです。よく聞く話で、司法試験を一年で突破する人はもともと頭がよいと思いがちです。しかし、そう解釈しているかぎり、何年勉強しても受からないかもしれません。じつは、やり方が違うのです。この意味でいえば、勉強ができる人に秘密はありません。やり方をつかめば、これはいけると確信できて、さらなる進歩につながるのです。心理学の用語で「ピグマリオン効果」というものがあります。自分ができると信じ込むことや、期待されているときや人からほめられたとき、評価されたときは、能力が高まるというものです。災害の場で助けを求められたとき、その期待に応えてバカカを発揮することもあります。俗にいわれている「火事場のバカカ」といわれる現象に似ていますが、これも「ピグマリオン効果」によるものです。この効果を勉強に利用しない手はありません。
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